プロテインDIY日記

プロテインをおいしく飲むことに執念を燃やしているブログです。

Sunfoodのプロテインおよび植物性プロテイン全般の安全性について

今日はこのブログで使っている2つのプロテインのうち1つ、Sunfoodのプロテインの安全性ついて。

長いので先に書くと、「有害とは言わないし、Sunfoodが悪いとも思わないけど、わたしはやめとこうかな」「今後はホエイだけに絞って味の研究をしていく」が結論です。



さてこれまでの経緯から。以前の記事、

oishiku-protein.hatenablog.com

これで書いたようにわたしはSunfoodのライス&ピープロテインがおいしくて好きなんだけど、ボトルに書いてある

“WARNING: This product contains a chemical known to the state of California to cause birth defects or other reproductive harm.“(訳「注意:この商品は出生異常またはその他の生殖に関する危害を引き起こすとカリフォルニア州で認められている化学物質を含みます」)

という文言が怖くて飲むのをやめようかなと思ってた。



で、代わりに、そういう怖いこと書いてないし、安いしということでマイプロテインで売っているライスプロテインピープロテインを買って、Sunfoodと同じ分量で配合してみればいいじゃんとトライしたのがこっちの記事↓。

oishiku-protein.hatenablog.com

めっちゃまずかった。大敗北。

で、それらを受けて、じゃあSunfoodのプロテインの危険性についてきちんと調べてみようじゃないか、それで納得がいく水準(問題ないと思えるレベル)だったらSunfoodを飲めばいいし、ダメだったらまた考えよう、というのが今回の記事です。

Sunfoodに聞いてみる

まず正面からSunfoodのカスタマーサービス*1に「何がどれくらい入ってるんですか」という趣旨のメールを送ってみた。

「カリフォルニアの制度が悪いだけで危険はないよ」

夜にメールを送ったら翌朝にはちょっとテンプレっぽいけど丁寧な返信がきていて、ちゃんとした会社なんだと思った。あとそもそも、よく聞かれる質問なんだろうな。


メール本文と、メール内でリンクを案内してもらった説明ページの内容を抜粋してまとめるとこんな感じ:


  • カリフォルニアの州法(California Prop 65)が悪い
    • 健康被害が起こる水準より極めて低い水準で"WARNING"のメッセージを記載しなければならず記載しているが、実際には十分に安全な商品。
    • 具体的には、1日1回、70年間摂取した人10万人のうち1人に健康被害が起こる可能性のある商品について記載が義務付けられている。(”The law states that if a person consumes a single serving of a product every day over a 70 year lifespan and if 1 in 100,000 persons can develop one of the possible health issues, the product must be labeled in California. This is not required in any other state or country.”)
    • こんな基準を採用している州も国も他にはないし、California Prop 65(この記載義務についての法律)がおかしい。
    • Sunfoodの食品はWHOやFDAの基準は当然にクリアしている。
  • 対象の物質は植物に自然に含まれるもので、植物原料の食品に入っているのは普通のこと
    • 該当する主な物質は次の重金属:鉛(lead)、カドミウム(cadmium)、水銀(mercury)、ヒ素(arsenic)
    • これらは自然状態で世界中の土壌、水、大気等に一定水準存在するもので、野菜にも当たり前に含まれている
    • 例えば鉛でいうと、Sunfoodのプロテイン1scoopよりアボカド1個やパイナップルジュース6oz(=コップ1杯くらい)の方が多く含んでいるし、180gのホウレンソウには倍近く含まれている。(でもこれらには"WARNING"の表示が義務付けられてないし変な法律だよね!)

とのこと。ちなみにSunfoodはカリフォルニアの会社でした。

尚、メールで紹介されてた説明ページはこの2つです。↓ 

Sunfood & Prop 65


www.sunfood.com


て、言ってるんだけど、どう思う?

ここからは個人の受け取り方の話なので、わたしはこう考えたよという話になるよ。

確かにCalifornia Prop 65は厳しすぎるのかも

これはSunfoodのCalifornia Prop 65の説明ページから引用したグラフなんだけど、

f:id:shepherdess:20170625124029j:plain

鉛について、上から順に

  • WHO/EUの定める1日の摂取上限
  • FDAの定める1日の摂取上限
  • California Prop 65が記載を義務付ける下限値
  • Sunfoodのプロダクト(プロテイン)1杯に含まれる量
  • Sunfoodのプロダクト(カカオパウダー)1杯に含まれる量


を比較していて、まあこれを見る限り「こんな少ない量で”WARNING”表示を義務付けてるのが変だよね」っていうSunfoodの主張は理解できる*2。 ちなみに単位の「MCG」はmicro gram 、つまりμgのことです*3


結局どの程度含まれていて、どの程度影響するの?

同じページの別の表をもう一つ引用すると、

f:id:shepherdess:20170625125256j:plain

Sunfoodのプロテイン1回量に含まれる鉛の量は6-7μgくらいに見える。でも、これが多いのか少ないのかはWHOやFDAの基準値のデータソースがわかんなかったのもあって、よくわからないなあと思った*4。先のグラフから見た感じではFDAの基準値は75μgくらいに見えるし、そしたら1割弱をプロテインから摂取することが有りなのか無しなのか、ちょっと判断が難しい。だって人間はプロテイン以外の食事も摂るのだし、Sunfood自身が言っているように野菜や他の食品からも鉛を摂取しているのだし。

自分が普段の食事で取っている(と思われる)量と比べてみる

摂取の上限値を調べてもよく分からなかったのもあって、代わりに「自分はどれくらい鉛等を摂取しているのか」を調べて、そこと比較してみようと思った。

で、引っ張ってきたデータがこれ。

食事由来の化学物質等摂取量推計調査結果(各年) 東京都福祉保健局

これは東京都福祉保健局が実施している、「都民の食事を介した化学物質等の一日摂取量」の調査で、マーケットバスケット方式*5で行われている。 これのH26年度版を見ると、都民は推定で1日に鉛を 0.18μg/kg・bw 摂取していて、体重60kgの人として計算すると10.8μgになる。

え、都民の普通の食事で10.8μg/日なのに、Sunfoodのプロテインを1回量飲むと6-7μgなの!?それはちょっと多いのでは。

で、Sunfoodのプロテインを飲み続ける?

わたしは別に、Sunfoodのプロダクトが特に重金属に汚染されているとかは思っていなくて、おそらく、ちゃんと育てられたちゃんとした植物原料を使っているんだろうと受け止めてるんだけど、でも植物を濃縮して作る植物性のプロテインの必然として*6、それを飲むならば鉛の場合で推計1.7倍くらいの量を摂取することを許容しないといけないということだと思った*7。鉛以外の重金属についても同じように摂取量が増える可能性がある。

あとはそれを自分が許容するかどうかで、個人的には、おいしさの代わりに取るリスクとしては見合わないのかなと思った。もしわたしがビーガンとかベジタリアンだったら飲む…のかなあ?そもそもビーガン、ベジタリアンの人は食物からの重金属の摂取量が多そうで大変そう。


付け加えるとこれって植物性プロテインは全部それなりに重金属を含まざるを得ないねって話だと思っているので、マイプロテインの植物性プロテインなら良くてSunfoodのならダメって言う話ではないと思う。

じゃあ、ホエイプロテインならいいの?

植物性の原料に重金属が含まれる、と分かった後に気になったのは「じゃあホエイはどうなの?」と言うことで、重金属が含まれる飼料(植物)を牛が食べることで牛の乳から作るホエイプロテインにも同じように重金属が含まれるの?というのが気になった。*8

最初に思ったのはこういう専門の機関に持ち込んで検査してもらえば納得では?ってことなんだけど、それなりにお金かかっちゃうからパス。

で、個人で持ち込まなくても持ち込んでる人・組織がすでにいるのでは、と思って調べたら、各社のプロテインを分析してる組織が2つ見つかって、 1つ目がこれ、LabDoorで、これは営利企業

labdoor.com

各社のプロテインを自社で成分分析して、

  • Label Accuracy
  • Product Purity
  • Nutritional Value
  • Ingredient Safety
  • Projected Efficacy

の5項目でスコアをつけてTOP10を発表している。このIngredient Safety(成分の安全性)の項に重金属の有無が含まれている。


もう1つがConsumer Reports、こっちはNPO

www.consumerreports.org

で、どっちも見て分かったのは、ホエイプロテインにおいて「重金属が含まれ有害である」と言われる商品は「製造段階で混入している」商品のようで、どうやら「牛乳から乳清をとって濃縮したら必ず重金属が含まれるよ」ということでは無いみたいだった。朗報!

ていうことで、これからはホエイプロテイン1本に絞って味の研究をしていこうと思います。 Sunfoodのライス&ピープロテインでまだ書いてない味研究の成果がたくさんあって、これ切るのはとても悲しいんだけども(チョコとかはちみつとかメイプルシロップとか)。

リスクを取るかどうかは個人の判断なので、飲む人も飲まない人もいていいと思っていて、「すごいおいしいよ」というのだけは最後に書いておきます。

*1:サイトって本国のこれね http://www.sunfood.com/ Sunfoodで検索すると日本の代理店のサイト http://sunfoodsuperfoods.jp/ も出てくるけど、そっちではない。

*2:この表を信頼するならば、という前提で。WHOやFDAの数値の出典が書いていなかったので探してみたけど、わたしの探し方が悪かったのか合致するような数値を規定するドキュメントは見つけられなかった。あとこれ→ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3834422/ とかを見るとWHOは摂取上限量を1日あたり(acceptable daily intake, ADI)とか週あたり(provisional tolerable weekly intake, PTWI)で決めてるんだけど、ADIにしろPTWIにしろ単位が[μg/kg bw]で、"体重1kgあたり"の数値が規定されているので、"体重は50kgとして計算しました"みたいなことが記載されるべきだと思う。

*3:https://en.wikipedia.org/wiki/Microgram

*4:2つ上の補足と同じ

*5:http://www.weblio.jp/content/マーケットバスケット方式

*6:Sunfoodの言う通り、例えば鉛は世界中の水や土壌や大気中等に存在する。これとかでも書いてある→ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3834422/

*7:食事からの摂取量が1.7倍になることが、健康を損なうことと等しいこととは思っていないけれど、どれだけ摂取していいかわからないままに1.7倍を受け入れるのは心情的に厳しいと思う。都のレポートの方にも鉛の許容量は書いていなかった。

*8:特に重金属だけを気にしているというのではなくて、もともとプロテインっていうのが濃縮された食品、かつ毎日のように・長期間摂取するものなので、危険性はきちんと評価したいなーと思っている。