プロテインDIY日記

プロテインをおいしく飲むことに執念を燃やしているブログです。

プロテイン・サプリ等に関する情報の途中ロストと、このブログができること

「おいしくプロテインを飲みたい」ことについてだけふんわり書くつもりでブログを始めたのに、2週間くらい経って振り返るとだいぶそれ以外のこと(プロテインの安全性の評価とか)を書くことが多くて、自分は何を書きたいのかなというのを振り返ったので書いておく。

ちゃんと根拠のある情報が欲しい

健康・美容まわりの分野の、根拠のよく分からない情報が氾濫している状況がわたしはきらいで、目についたところから1個ずつ、はっきりさせていきたいのだと思う。

どうして健康・美容まわりの分野で不確かな情報が多いのか

これは自分の中では明確で、「売る人」が「十分な科学的知識を持っていない」ことが多いからだと思う。 なぜ多いかというと、構造的に「別のことの専門家」が「売る人」になることが多いからだと思っている。 (もちろん、マーケットがでかいからズブの素人や悪意ある企業が参入して来やすいっていうのもあると思う。)

「別のことの専門家」が「売る人」になる例:美容師と施術用薬剤

たとえば美容院でカラー、パーマ等の施術を受ける場合、化学的性質の異なるいくつかのカラー液・パーマ液から選んで施術することになる。消費者は「○○パーマ」(○○には「3D」とか「アクア」とか「デジタル」とか「ミネラル」とかが入る)等の商品名と、商品説明(「髪が全然痛まない」「長持ちで選ぶならこれ」「天然成分配合で優しい」とか)と、値段で選ぶことになる。商品をおすすめしたり、消費者の質問に答えて選択を助けたりする「売る人」は美容師だけれど、美容師は一般に化学や生化学の専門家ではなく、美容の専門家である。だから「天然成分配合で優しい」とメーカーに言われたらそれをそのまま消費者に伝えるしかない。唯一できることは、自分で使ってみて「優しい」と感じるか「優しくない」と感じるかを感覚的に判断することだけだ。

逆にいうと、化学や生化学の専門家を有してきちんと商品開発しているメーカーの側も、美容院に卸す時点で「美容師に伝わる言葉」でしか商品説明できない。そしてそこに科学的根拠は含まれない。科学的根拠が除外されるということは、元々何の科学的根拠も持たない商品も全く同列に扱われることになる。それが不確かな商品と不確かな情報の氾濫を引き起こす。

これはたとえば、医療の分野で製薬会社のMRが医師に自社の薬剤の説明をして、それを受けた医師が患者に薬剤を処方するプロセスとは全く異なる。医師に科学的根拠を理解する力があるから、製薬会社はMRを介して医師に科学的根拠を提示するし、患者は科学的根拠を元に医師に薬剤を選んでもらうことができる*1

プロテイン等のフィットネス系サプリメントの場合

プロテインを販売しているメーカーの多くがボディビルディングのコンテスト出場者やフィットネスモデル(=筋トレのプロ)のスポンサーになり、商品提供をし、彼ら筋トレのプロを広告塔にして商品販売をしている。だから先の例での美容師に対応する「売る人」は彼ら筋トレのプロだ*2

美容師の一般的なキャリアパスが化学や生化学の高等教育を経ないのと同じように、筋トレのプロの一般的なキャリアパスも栄養学や生物学の高等教育を経ない。だから筋トレのプロはメーカー側に「これは筋肉の回復にすごく効く」と言われたらそのまま消費者に「これは筋肉の回復にすごく効く」と言うしかないし、唯一できる検証方法は自分が使ってみて「筋肉の回復にすごく効く」と感じたかどうかだ。そしてそこには当然プラセボもはたらくだろうし、そもそも収入源の多くをメーカーに依存していたら「効かなかった」と消費者に伝えることは難しい。

そしてやはり、栄養学や生物学の専門家を有してきちんと商品開発しているメーカーの側も、筋トレのプロを介す時点で「筋トレのプロに伝わる言葉」でしか商品説明ができないし、そこで科学的根拠に関する情報が失われる。そうして科学的根拠に欠ける商品と同じ土俵で戦うことになり、不確かな商品と不確かな情報の氾濫が起こる。

理想的な状態は科学的根拠を理解できる人が通訳をすること

わたしは全ての美容師や筋トレのプロが関連する学問の高度な知識を身につけるべきとは決して思っていなくて(そんなのは無理だ)、メーカーと消費者の間に別の第三者、科学的根拠を理解してきちんと伝えられる「通訳」がいることが理想だと思っている。

具体的には美容師の中に1人でも2人でも、大学や大学院で化学等を専攻した人という「通訳ができるレアな経歴の人」がもし居たら、その人が「このプロダクトにはこんな特徴があるよ」と科学的根拠を添えて情報発信することにはとても価値があると思うし、あるいは公平な第三者機関が同じ条件で各商品を分析・評価してわかりやすい選択基準を提供してくれることは意義深いものだと思う。そういう「通訳」が存在することで科学的根拠を伴う選択基準が消費者に提供され、科学的根拠を持たない商品や不確かな情報の氾濫が抑制されるはずだ。

じゃあプロテイン等のフィットネス系サプリメントで誰がその「通訳」かというと、わたしは大学や大学院で科学的な教育を受けた筋トレのプロを知らない。これは「いない」のではなく、多くのそうでない筋トレのプロの声が溢れている中で、見つかりにくく、見つけられていないのだと思う。また、LabDoorが公平な第三者機関ではないかと思って期待したこともあるけれど、期待はずれだった*3のでちゃんと「通訳」になってくれる第三者機関も知らない。

自分がプロテイン等のフィットネス系サプリに対してできること

わたしはこれを書いている日付時点で、「筋トレやプロテイン摂取を始めて1年未満の」「大学院で生物系の修士号をとった」「女性」だ。トレーニングに関してはまだまだ素人である反面、一般的な水準より「プロテインとは」「アミノ酸とは」といった知識があるし、栄養学の専門家ではないけれど、科学的根拠に基づいて考えるとはどういうことかという教育を受けている。そして女性なので、女性が日常的にどんな健康・美容に関する情報(根拠のあるもの・無いもの双方)に曝されているかを知っている。

わたしのこれらの属性が「通訳」に十分だとは全く思っていないけれど(本当は筋トレのプロで博士号持っている人とかが情報発信したら最高なはずだ)、ちゃんとした「通訳」が見つからない状況下で

  1. 自分ができる範囲で「通訳」を行うこと
  2. ちゃんとした「通訳」を探して、それが見つかったらその存在を広めること
  3. ちゃんとした「通訳」ぶっているけど実際はそうでないもの(LabDoorとか)を見つけたらそれも広めること

の3つはわたしができることで、きっと意義のあることなんだと思う。少なくとも自分が商品を選択するときに役に立つので、自分のためにはなる。

このブログでやろうと思うこと

・・・ということで、最初に考えた「おいしくプロテインを飲みたい」ことと、上記の3つを合わせた4つをテーマにして書いていこうと思う。とりあえず書いていこうと思っているだけだし、ただの趣味なので、気が変わるかもしれないけども。



P.S. なんだか硬い話になってしまったので、明日はホエイプロテインに桃シロップを入れるとピンク色になってかわいいしおいしいっていう話を上げます。たぶん。

*1:もちろん、そうではないMR・医師もいるから接待が問題として取り上げられたりするんだろうけど、少なくともメインストリームはちゃんとやっている医師とMRであると思う。

*2:筋トレのプロがサイトやブログ、SNS上でアフィリエイトプログラム等で商品を販売するケース、雑誌の記事等の広告で消費者に勧めるケース、ジムを開いたりパーソナルトレーニングを行いその顧客に販売するケースなどがある。メーカーやドラッグストアから直接購入されることも多いが、その際も多くの場合、商品選択には筋トレのプロが発信した情報や彼らを使った広告が参考にされていると考えている。

*3:LabDoor(プロテインTOP10ランキング)の安全性評価があやしい - プロテインDIY日記